今年も西コークの各地で開催された室内楽フェスティバル West Cork Chamber Music Festival。コンサートを理由に海辺の町スカル Schull に泊まり、しばしリゾート気分を味わった。

音楽祭のメイン会場のある町バントリー Bantry には去年滞在したので、今年は別のところと選んだのが Schull。読み方はカタカナで表すと「頭蓋骨 skull」と同じ「スカル」。発音記号は違うので発音は微妙に違うはずだが、私には聞き分けられません。

夫は子どものころに家族旅行でこの町に遊びに来たことがあったという。「かっこいい cool 名前だと思った」そうだから、やはり単純に頭蓋骨を連想したのだろう。

ミゼン半島 Mizen Head へのドライブの玄関先となる町スカル Schull。(Map of County Cork where my ancestors departed for the US より地図引用)

残念ながら我々がドライブをしたときはミゼン半島は終始曇天、観光案内所 Visitor Centre もこの日は何か不都合があって休館。半島と断崖絶壁の一端を結ぶ有名な吊り橋までは行けなかった。また次回!

スカルの町のメインストリートには本屋、ブティック、カフェ、ギャラリーなどが建ち並ぶ。

Blue House Gallery ギャラリーに展示してあったミニチュアの置き物。この辺りをドライブしていると本当にこんなノスタルジックな風貌の農家やコテージをよく見かける。ギャラリーは地元のアーティスト数人が交替で店番をしているそうだ。

夜にはメインストリートの外れにある An Tigín というパブで一杯。 

室内楽フェスティバルの一環として、若手音楽家による無料のコンサートも西コークのいくつかで開かれる。ここスカルでも Meliora Quartet という四人組がカフェの一角で弦楽四重奏を2曲演奏してくれた。

最初の曲はロシアの作曲家ボロディンが20年連れ添った妻に捧げた『弦楽四重奏曲第2番ノクターン』。バイオリンとチェロのかけあいが悲喜こもごもの夫婦の関係を連想させて面白い。次は弱冠19歳のメンデルスゾーンによる『弦楽四重奏曲第1番』。優雅なメロディの流れの中にもほとばしる若さと情熱が感じられて思わず笑顔になる演奏だった。

Amar’s Cafe での無料コンサート。カフェのスタッフが娘さんと座って聴いたり、演奏中に淹れられたコーヒーがカウンターから次々に手渡しされて注文した人に運ばれていったりと、和気あいあいとしていた。

宿泊したのは、町のメインストリートから徒歩15分ほどのところにあるゲストハウス Corthna Lodge。メインの朝食メニューと食べる時間帯は前日の夜に注文しておく。動物性食品を一切使わないヴィーガンメニューとして「豆腐のサンドイッチ」があったので試しに頼んでみたら大正解。オーナーのレイチェルさんは自然食や地元で採れる食品へのこだわりがある人で、朝食では焼き立てのバナナブレッドやマフィン、フルーツやショウガなどで作った健康ジュースなどが振る舞われた。

豆腐そぼろとパンとの相性もよく、手作りのピクルスも酸味が利いていておいしかった。豆腐はその名も Otofu というブランドで、西コークに住むご夫婦が作ってスーパーなどに卸しているそうだ。夫の頼んだアイリッシュ・ブレックファストも、一つひとつの食材が丁寧に調理されていた。

翌朝食べたスモークサーモンたっぷりのベーグルも、朝から幸せになるおいしさ。

お庭も見事なゲストハウス Corthna Lodge。6つほど部屋があり、夏は満室になることも多いようだ。

それぞれの部屋にはコークの地名がつけられている。私たちの泊まった部屋「シャーキン Sherkin」は西コークの離島のひとつ。

2泊滞在してチェックアウトし、バントリーでのコンサートに向かったが、レイチェルさんから連絡が入った。ワイヤレスのイヤーポッドを一つ部屋に置き忘れていたという。しかも、部屋の鍵を持ったままでチェックアウトしてしまった。情けない。

ゲストハウスに引き返し、無事に鍵を返し、イヤーポッドを受け取った。幸いバントリーでのコンサートにはまだ時間があったので、スカルの町で日曜の朝から昼にかけて開かれる市場(ファーマーズ・マーケット)に行ってみた。

レイチェルさんも勧めてくれたマーケットはメインストリートからすぐそばで、普段は駐車場になっている。

地元のデザイナーやアーティストの作ったアクセサリーや小物も売られていた。

出店していた人の庭で採れたというルバーブ rhubarb という茎野菜を一束買った。強い酸味があるので砂糖で煮たりしてジャムやお菓子に使う。 

スカルは本当に魅力的な小さな町だった。来年の音楽祭のときにまた来てもいいし、別の町を探すのも楽しそうだ。