皆既日食を見るという大目的を果たしたあとは、友人のお母さんが生まれ育った家に泊らせてもらい、のんびりと過ごした。

この家はしばらく前に建て増しをし、2階に新しくリビングスペースとシャワー、トイレをつけたそうだ。そして、このリビングルームに今年初めてエアコンを設置! 

「ほんの数年前まで日の差さない家の中にいれば暑さもやり過ごせたけど、最近は無理」と友人。寝室には扇風機があったので何とか眠れたが、寝苦しい夜も多いだろう。

友人のお母さんの家は、見た目より中が広くてびっくり。大きな木の外門がいい雰囲気を出している。夜になると外壁の上の方を数匹のヤモリが張りついていた。建築家ガウディのモチーフのひとつである彼らを見て少し嬉しくなった。

家は少し高台にあり、背後には地層の出た崖がそびえている。これはアーモンドの木。ゴッホの『花咲くアーモンドの木の枝』は私の大好きな作品のひとつなので、初めて見るアーモンドの木に興奮。

ちゃんとアーモンド。

私たちの寝室にあった、馬の蹄鉄でできた洋服かけ。

朝食はこの中庭で食べる。2階からも中庭に降りられる。

朝食のあと、17歳になる娘さんと、たまたま遊びに来ている姪っ子は、村の友だちと遊んだり公営プールで泳いだりして数時間を過ごす。午後にはみんなでおしゃべりをしながら時間をかけて食事を取る。ワインも一杯飲んで、午後遅くの一番暑い時間帯はエアコンの効いた2階のリビングで涼んだり、昼寝(これぞシエスタ)をしたり。友人の弟夫婦の犬も姪っ子といっしょに滞在していて、タコのぬいぐるみといっしょに人のあとをついて回るのが面白かった。

昼食の前菜はメロンと生ハム。スペインで食べる果物と野菜はどれも特別おいしく感じられた。このあとにパスタを食べて、眠たくなった。

ご両親のどちらもがこの村の出身というだけあって、外を歩くと親戚によく顔を合わせる。村にひとつしかないスーパー(午後1時ごろに閉まる)の前では村長さんにも出くわした。

村役場などもある広場は、2年ほど前に整備のために工事を始めたら「ローマ時代の遺跡が出てきたので工事は中止」に。よくあることだそうです。

この教会の塔にはこうのとりが巣を作っている。以前は冬にはアフリカに越冬していたが、最近は一年中村にいるそうだ。村には教会が 3つあり、鐘の音が 15分おきに村中に鳴り響く。

公営プールの前にあるバル。写真右手のすだれの向こうがプールで、このときも姪っ子が泳いでいた。ここに建物を建てて冷房のあるバルにしようという案もあるそうだ。

友人によると、数年前にイギリス人の老夫婦がこの村に越してきたそうだ。イギリスより生活費が安いスペインの田舎で、のんびりとしたペースでゆとりのある老後を送るためだ。スペイン語がほとんどできないため、英語のできる私の友人夫婦は村に遊びに来るたびにこの老夫婦と会っていたそうだが、去年も今年も見かけていないという。毎年暑さが増す一方なので、夏はイギリスに帰っているのかもしれない。

友人のダンナの方は、じつは私たちがお邪魔したこの週も普通にリモートで仕事をしていた。朝6時か7時に仕事を始め、午後2時に終了する。私たちが10時くらいに朝食を取っていると、「もう2回目のコーヒー休憩だ」とか言いながらキッチンに降りてきた。朝のまだ涼しいうちに仕事を終わらせて、午後はゆっくり好きなことができるのだからいい。

たった数日だったが、ダブリンにいるときとはまったく違う夏が体験できた。こんな村で毎年過ごせたらいいなあと思う一方、気候変動がじわじわと生活を圧迫している様子も身をもって実感した。

田舎で過ごしたあと、弟夫婦の愛犬マヨ Mayo とともにサラゴサの街に戻った。また会えるかな。