車関係には興味の「きょ」の字もない私。車を見分けるのは何となくの大きさとゴツゴツ感、そして色だけだ。夫の車はメタリックブルーなので、巷にあふれるグレーと白と黒の車の中では見つけやすく、本当に助かっている。

そんな私が、ダブリンで先週末に開催された「NEVO Electric Vehicle Show 電気自動車ショー」なるものに行ってきた。車好きの夫はすでに行く気満々で事前に参加登録をしており(無料)、私も「じゃあ物は試しに…」と夫についていったのである。

会場は RDS(Royal Dublin Society)で、ダブリンの中心部からは3キロほど南西の方角にある。普段は見本市やコンサート、ホースショー(馬の祭典)などに使われる、1731年に創立された老舗のイベント会場だ。

このアイルランド最大の電気自動車ショーでは、34の自動車メーカーが120台以上の EVを56のブースで展示。1日目はメディアとビジネス関係者向けで、2日目は一般客に開放して、2日間で約3万人の参加者を見込む。

アイルランド最大の電気自動車、クリーンエネルギー、そしてスマートモビリティソリューションの展示会。主催の NEVO はアイルランドで唯一の EV プラットフォームとして、電気自動車へのスムーズな移行ができるよう、情報提供、アドバイスなどを行っている。

家族連れも多いが、30代以上の男性が目立っていた会場内。みな目を輝かせながら真剣に車を値踏みしていました。30台以上が予約制で試乗運転できるのも人気。

2024年に世界で販売された EVの70パーセントが中国製だったというから、展示会は中国勢のブースが占めているのかと思いきや、欧州メーカー、日本車、韓国車、中国車とわりとバランスよく出展しているように見えた。私が中国のメーカーの名前を知らないだけなのかもしれないが。

日本からは日産、TOYOTA、レクサス、HONDA が参加していて、日産の「新型マイクラ」と「新型リーフ」の公式公開が大きな注目を集めていた。私たちが以前乗っていた97年製のマイクラ Micra に比べて新型マイクラは巨大化しており、もはやコンパクトカーとは思えなかった。

展示車は複数の人々に同時に試乗され、ドアやトランクなどをバタバタ開けられていた。私が手近な車の助手席にすべりこむと、運転席に座っていた男性が「Where to? どこまで?」とおどけて聞いてきた。

いくつかのブースでは体験型のゲームが無料で楽しめる。

去年の展示会にも行った夫によると、去年はバーガーやコーヒーなどのフードスタンドが会場内にあり、バーガーを焼く煙や匂いが漂っていたそうだ。今年はその反省からか、フードスタンドのほとんどは会場の外に設置されており、私たちはギリシャ料理のスタンドでケバブをほおばった。何種類かの中からソースとしてフムス(ひよこ豆のペースト)を選んだが、それがサラダとも合うしボリュームも増して正解だった。

2024年の普通乗用車市場におけるEVの新車販売台数は、アイルランドは約3万台、日本は約10万3千台。台数だけを比較すると日本の方が多いが、全体販売台数のシェアで見ると、アイルランドは25パーセントが EV、日本は2.8パーセントと格段の差がある(BEV バッテリー式、PHEV プラグインハイブリッド車、FCEV 燃料電池自動車合わせた数字、国際エネルギー機関(IEA)より)。

日本政府は、2035年までに新車販売をすべて EVにする目標を掲げているというが、まだまだのようだ。

アイルランドでも懸念はある。EVは同等のガソリン車と比較すると全体的に費用を節約できるものの、アイルランドの電気代はヨーロッパで最も高く、その差は欧州の国々のあいだでガソリン代よりもはるかに大きいそうだ。例えば、フォルクスワーゲン ID.4のようなファミリーサイズの車を充電するには、アイルランドでは年間約1,132ユーロかかる(約20万2千円)。これはスペインよりも398ユーロ、フランスやイギリスよりも230~249ユーロ高いらしい(国際エネルギー機関(IEA)によるアイルランドの平均電気料金と、一般的なエネルギー使用を想定)。

何あれ、このショーで向こう数年主流になるような多様な電気自動車に触れられて、けっこう楽しかった。街中で車を見るとき、「色、サイズ、ゴツゴツ感」に加えて、「EV かどうか」にもっと注目できるようになったかもしれない。

自分たちへのお土産として、日産リーフとマイクラの付箋と、アルファロメオのペンを頂戴してきました。