父が8月上旬からこちらに来ている。といっても今は友人と二人でスコットランドを旅行中。アイルランドには来週戻ってくる予定だ。

今年は 6月から暖かい日が続いている。アイルランドの 126年の観測史上、6月は4番目、7月は9番目に平均気温が高かったそうだ。この夏は職場でも扇風機が大活躍。立秋になっても暖かい傾向は続いている。

湿度が70~80パーセントぐらいと高いので、22度ぐらいでも体感気温はもっと高く感じる。父はダブリンに到着してすぐは「やっぱり涼しいねえ」と言っていたが、晴れて湿度が高い日などは「けっこう暑いんだな」とすぐに慣れたようだった。晴れ男らしく、アイルランドに何回も来ているが、雨にはあまり降られたことがないらしい。

父といっしょにベルファストやウェックスフォードなどに旅行に行った。パブやレストランでの食事は私と夫の分もすべて支払ってくれる。ありがたい。が、お勘定が来てもいないのに早々と私にクレジットカードを投げるように寄こしてくる。コンタクトレスのカードではないから、どうせ父が暗証番号を入力しなければいけないのに。

ベルファストの中心にあるシーフードレストラン Fish City

地元で獲れたムール貝は、スターターサイズでも 3人で分けて十分の量だった。父は鱈の切り身を揚げた cod goujons とフライドポテト、私はシーフードのパスタ。ベルファストに行ったらお勧めのレストラン。

父が私を訪ねにアイルランドに初めて来た20年ほど前、泊まっていた宿で枕銭、つまり清掃スタッフへの心づけとして、枕の下に小銭を置いておいたそうだ。しかし「小銭は取られずに残っていたよ」と言っていた。枕銭、アイルランドでは当時でも珍しかったのでは。チップ大国のアメリカでも今ではあまり見られない習慣かもしれない。

アイルランドは特にアメリカからの観光客が多い。彼らはアメリカの習慣でチップを15パーセントかそれ以上払おうとするし、パブで一杯飲んでもチップを払わなければいけないと思っている。アイルランドではレストランのチップは会計の10パーセントが目安、よほど面倒な注文を聞いてくれたような場合には15パーセント。会計にはサービス料が込みの場合もあるので注意したい。パブのカウンターで頼む場合には、チップを払いたければお釣りの小銭をちょっと置いておけばいいが、今は現金で払う人はほとんどいないから、パブ側もチップは期待していない。

タクシーも、払いたければ端数を切り上げ、例えば14.5ユーロなら切り上げて15ユーロ払えばよい。16ユーロのところを切り上げて20ユーロ払うことはない。

日本語では心づけのことを今ではチップといい、英語の発音は tip(ティップ)、日本語のように「チップ」と言うと、ガラスや陶器や歯などのわずかな一部やかけらを表す chip という単語の発音と同じになる。「チップス」と複数形で発音すると、アイルランドや英国では普通はポテトフライ(フライドポテト)のこと。Fish & chips ですね。日本語の「ポテトチップス」と言えば揚げた薄焼きのジャガイモのお菓子で、アメリカ英語から来ている。こちらでは crisps。子音の多いクリスプスという発音、私はなかなか発音できなかった。

アイルランドのパブ飯の代表、堂々たるフィッシュアンドチップス。ウェックスフォードの New Ross の町外れにある Mannion’s Pub で。運転担当の夫はノンアルコールのギネスビールをおいしく飲んでいました。

心づけの意味の tip も、複数形はもちろん tips。 

Tip には他にも「先端」や「役に立つちょっとした情報やコツ」という意味がある。後者の意味の tips はたいてい複数形で使われるが、この英単語が日本語化してきた。人によって「ティップス」だったり「チップス」だったり、言い方はまだ定着はしていないようだが、ややこしいことこの上ない。普通に「コツ」とか「豆知識」とか日本語で言ってください。