アイルランド最大の日本のイベント、花見フェスティバル Hanami Festival に今年も行ってきた。

Expericen Japan という日本関連の催しの一環として、花見フェスティバルは毎年4月の日曜日にダブリンのフェニックス公園 Phoenix Park で行われる。今年は 4月 27日、正午12時から4時までの開催。青空が抜けるような素晴らしい天気で、まさにお祭り日和だった。

広大なフェニックス公園の西側にあるファームリー・ハウス Farmleigh(アイルランドの迎賓館)の敷地にフェスティバルの会場が点在する。周りにはアルパカや羊なんかもいてのんびりできる。

2022年に初めて参加したが、去年はアイルランドで日本語を教えている教師たちが陣取る Japanese ‘Gaeltacht’ というテントを手伝い、日本語に興味のある人たちにアドバイスをしたり、名前を日本語(カタカナ)でどう書くか教えたりした。家族連れや学生さん相手にしゃべりまくったあと、「Crafts Area」という建物のお習字のコーナーを少し手伝っているうちに一日が終わった。

今年はあれもこれもではなく、お習字のボランティアに専念することにした。夫と朝11時前には車で会場入りしたが、駐車場はすでにかなりの車が停めてあった。私のようなボランティアが早くから駆けつけているのだ。大学生が中心となってイベントの運営をし、各会場を盛り上げる人たちすべてがボランティアだ。

早く着き過ぎたので、敷地内のギャラリーでやっていた『怪談:ラフカディオ・ハーンとの邂逅』展を見学。

アイルランドの20人のアーティストと日本の20人のアーティストが、ハーン(小泉八雲)の作品を題材に作った版画を展示している。8月下旬まで開催中なのでまたゆっくり見たい。

写真右手の建物の中が、書道や着物の着付けなどをするクラフトコーナー。

水引(日本の伝統的な飾り紐)の説明に今年も来場者は聴き入っていた(これは去年の写真)。お祝儀袋などの飾りでしか目にしたことのなかった水引が、素敵なアート作品やアクセサリーになるんですね。

書道のボランティアは日本人女性ばかり15人ほどで、前半と後半と2つのグループに分かれた。私は前半の担当。イベントの正式なスタートは正午12時のはずだが、かなり前くらいから来場者が建物に入ってくるので、設営後に買ったコーヒーをゆっくり味わう暇もないまま、筆に墨汁を浸して何となく練習を始めた。筆をもつのは一年ぶりなので感覚が戻ってくるまで数枚半紙に知り合いの名前などを書いていった。

普通の半分の大きさの半紙にカタカナで来場者の名前を書く。来場者はそれを持って他のテーブルに行き、台紙に貼ってもらうという流れ。

名前に間違えのないよう、来場者に名前をまず書いてもらい、それを私の方でカタカナ書きにしていく。

私のとなりに座って習字をしたのはダブリンに移ってきたばかりの人で、まだアイルランド特有の名前に慣れていないようだった。「イーファ」という名前だと伝える来場者にスペルを書いてもらったら Aoife なので、「これでイーファと読むの?」と余計に混乱していた。アイルランドではよくある女性の名前だ。

私の方にも、Niamh(ニーフ、ニーヴ)、Callum(カラム、カルム)、Saibh(サイブ、サイヴ) 、Caoimhe(クイーヴァ)などのアイルランドならではの名前の人がたくさん来た。「ニーフ、ニーヴ、どっちがいい?」と日本語っぽく発音して、本人に確かめながら進めていった。

たくさんの外国人も暮らすアイルランドを反映して、東欧系やインド系などの名前も多かった。中国人に見える若者たちもかなり来るので、「あなたの方が私より書道うまいんじゃない」と聞くと「やったことがない」、名前を聞くと英語の名前。こちらで育った子たちだ。見た目で決めつけてはいけませんね。

大学生くらいの男の子が「これ書いて」とスマホの画面を見せたのは「勝恩」という文字。どういう意味なのだろうと一瞬考えたが、すぐに「ああ、あなたショーンって名前ね」とピンと来て言うと、二カッとした笑顔が返ってきた。ショーンもよくある名前だ。

家族全員の名前(ペットも)を書かされりしたが、なかには「Victory」「Happiness」などを日本語で書いてという要望もあった。Happiness を「しあわせ」と書こうか「幸福」と書こうか迷ったが、ひらがなで書いた方が日本語らしいなと思ってひらがなにした。

気づけばあっという間に2時間以上経っており、後半の担当の人が席を代わってくれた。気持ちよく疲れるとはこのことである。後日聞くと、この日 1500枚以上用意した半紙はほぼなくなったとのこと。かなり練習や書き損じで使ったが、それでも 1000人以上の名前は皆で書いただろう。

夫と合流し、ぶらぶらと他のエリアも一周して家路に着いた。来年もまた参加するぞ。

ファームリーハウスの裏手に設営されたメインステージでは、太鼓や踊りのデモンストレーションがあった。

いつも子どもたちに人気のマンガコーナー。

日本大使館のブースで、大阪万博のパンフレットとクリアフォルダーをもらいました。万博のアイルランドパビリオンに行きたい!