「そろそろお米が切れてきたよ。」

2週間ほど前に夫が言った。夕食はいつも夫が作り、週に2、3回はご飯も炊いてくれるので(もちろん炊飯ジャーで)、彼の方がわが家にある米の量を把握している。

職場から近いアジアンマーケットに行ってみると、いつも買う日本米の 5キロパックは見当たらなかった。1キロパックだと割高だし、10キロは私が仕事のあと家に持ち帰るのはちょっと肩につらい。社会人学生をしている夫は、なかなか街中まで出る用事がない。

この店はダブリン郊外に倉庫を兼ねた大型店があるが、家から歩くと30分以上かかる。ネットで買うとデリバリーもしてくれるが、8.99ユーロの配達料がかかる。お米以外に今ここで買わなければならないものは大してないから、1500円近くも配達料を払うのはしゃくだ。

さてどうしたものかと考えているうちに、とうとうお米が底を尽きた。冷凍庫に常備してあるご飯も食べ尽くした。いよいよ配達を頼むか、と腹をくくったとき、ふと気づいた。

「そうだ、車があった。」

1月に他界した夫の母親が、生前に、夫が彼女の車を使えるように手配してくれており、ダブリンに車を持って来ていた。家から少し離れているところに駐車しているためか、私はいつもその存在を忘れがち。車をたまに運転する夫でさえ、車で買い物に行けることが思いつかなかったようで、2人で笑ってしまった。

そんなこんなで、日曜に車で郊外の大型アジア食材店に行った。

ダブリンのシティセンターにある老舗のアジアンマーケット Asia Market が展開している郊外店。業務用の食材も扱っている。

店の入り口すぐのところに、韓国のフライドチキンのお店ができていた。

ちょうどお昼どき。13ユーロ(約2100円)のご飯とチキンのセットを注文。屋外のテーブル席もあるが風が冷たくて寒かったので、車の中で食べてみた。2人でちょうどよい量。キムチが多かったので、食べきれなかった分はあとでチャーハンにしました。

アジア店の日本食材コーナー。品ぞろえは街中にある店舗と特に変わらないが、陳列されている量が多い。

小型トラックが棚の代わりに使われている。最近、このアジア食材店を経営している会社のオーナー夫婦の娘さん(彼女も幹部のひとり)が、テレビの料理番組をもった。店内はその宣伝であふれており、トラックにもそのポスターが。

日曜だったせいか、店内には家族連れが多かったが、客層は非アジア人が半数くらいだったかもしれない。探しものを求めてうろうろとする人たちと何度もすれ違った。

日本では今、さまざまなものの値段が高騰していると聞く。米は特に、去年の2倍近くになっているというから驚きだ。アイルランドでも数年前から物価の上昇が止まらない。いつも買う2リットルの牛乳は2021年に 1.49ユーロ(241円)だったのが今年は 2.45ユーロ(397円)になった。ほかの乳製品も肉も野菜もすべてそんな調子だ。

この日買ったお米は10キロで18.95ユーロ(3066円)、値段は数年前とほとんど変わっていない気がする。パッケージをよく見てみたら、イタリア産だった。

今回買った品々。お好みソースと味つけいなり揚げはそれぞれ 5ユーロほど(約800円)。醤油1リットルは 1000円ちょっと。日本の製品はやはりこちらでは割高だ。